メッセージグッズ
オオカミ再導入について前々回の記事で紹介した。シカによる自然破壊の話だ。私は人間が銃でシカを減らすという現在の対策には限界があると思っている。そしてオオカミを再導入する代案に惹かれるのだが、国はまともに聞いてくれない状況にある。
話のテーブルに着くには市民の声の後押しが必要になるが、残念なことに市民もオオカミにネガティブなイメージを持っている。
まず一般市民にオオカミについて知るきっかけが必要だろう。それからオオカミ再導入について考えてほしい。もし市民の声が大きくなったら、国も真剣に考えてくれるのではないだろうか。
そこで「狼と森の研究所」とメッセージグッズを作ることにした。ロゴはプロのデザイナーが作ってくれ、弊社が製造と販売を担っている。現在Tシャツ、マグカップ、トートバッグの3つの商品がある。
ご興味のある方は、以下をご覧いただきたい。
「段々色online shop」(https://nrd031.stores.jp)
表題について
「Who speaks for Wolf?」はインディアンの逸話からきた言葉で、アメリカではこのタイトルで本が出版されている。
また「狼と森の研究所」は2018年10月、米国インターナショナル・ウルフ・センター主催の「国際オオカミシンポジウム」において活動の功績を称えられているが、その賞が「Who Speaks For Wolf Award」である。
では、逸話をご紹介したい。
【Who speaks for Wolf ?】
はるか昔、ネイティヴ・アメリカンのオネイダ族が移り住んだのは素晴らしい土地でした。しかしそこにはすでにオオカミの一族が住んでいました。ひとつの土地にオネイダ族とオオカミ、ともに住むには狭すぎます。長老たちは話し合い、オオカミを全滅させることに決まりかけました。
その時ひとりの若者が立ち上がり、皆に問いかけました。
「私たちは、そんな人間になりたいのか?
誰かオオカミのために話す人はいないのか?(Who speaks for Wolf?)」
オオカミは自然そのもの。ともに生きるために。彼らは自分たちの行動を見直し、部族にとって大事なことを決める話し合いの場では必ず、こう問いかけることにしました。
“Who speaks for Wolf ?”
後記(狼と森の研究所)
人間ではないものたちを顧みること、生きとし生けるすべてのものの声なき声に耳をかたむけること。それが自分たちの暮らしをより良きものにすると彼らは気づいたのでした。
これは現代の生物多様性保全の考え方そのものです。 オオカミのために声をあげることは、人間社会を敵に回し糾弾することではなく、むしろ人間の英知の可能性や真に豊かな未来社会を信じることであろうと思っています。
人間とオオカミのあいだには悲しい過去がありました。人間が自然を壊し、オオカミの餌となる動物を奪ったため、オオカミは家畜を狙う害獣とならざるを得ませんでした。
「では悪いのは、そもそも自然を壊す人間じゃないか」私たちはそう考えがちです。
でもちょっと待って下さい。壊しているという事実に気づくことができるのもまた、人間だけです。私たちは科学の力でいま何がおきているかを知り、未来を予測し、知恵を出しあうことができます。
自然の摂理に逆らわず、多くを望み過ぎず、偏見や先入観に惑わされず、その先にある真に豊かな未来へ向かって歩み続ける――オオカミが、その希望を象徴する動物となってくれたらと願っています。
あなたは誰のために話しますか?
「狼と森の研究所」(https://www.wolfandforest.com)