作家 大谷都民版
1987年生まれ 東京都在住
幼少の頃より絵を嗜み16歳から独自で絵を描き始める
20歳で統合失調症を発症
25歳で四国お遍路49日間歩き満願する
幻聴に苛まれながら自由空間の中に現れる事象を描く
以後絵を描き続ける
統合失調症の作家
当ギャラリーが最初に契約した作家である。
作家は統合失調症だ。幻聴や幻覚が現れる病気である。この病気は昔「精神分裂病」と言ったが、適した名称ではないとのことで「統合失調症」という名称に変わったのだそうだ。確かに「精神分裂」はちょっと酷い名前である。
作家は夕方から症状が現れることが多い。彼の場合、幻聴が辛いという。時には友人や家族の声で「あれをしろ、これをしろ」と指図される。これがずっと続くのだからたまったものではない。作家は「もう放っておいてくれ!」と心の中で叫ぶ。
ところで彼の作品にはタイトルのある作品と「無題」とする作品がある。タイトルがある作品は意図的に制作したもので、「無題」の作品はそうではない。
朝、目を覚ました時に映像が見える。それは壁や天井に映し出される。「無題」の作品は、その映像を思い出しながら描いた作品だ。自分にしか見えない、意味のない模様。これが「無題」のモチーフなのである。
最近は幻覚を見ることがなくなったので「無題」の作品もなくなった。
この作品について
さて、今回の「35℃&2000グラムの束」は、筆とスプレーで描かれたアクリル画だ。原画サイズは910×910㎜。
鮮明な色彩と深い色の組み合わせ、加えて背景にうっすら影があることで立体感がある。この立体は見る者を隙間から奥に引き込もうとしているように思える。しかし片方で、全体的な緊張感から見る者に近づくなと言っているようにも思える。
35℃は気温か体温か。何が2000グラムなのか。描いたのは生物か無機物か。ずっと思索を続けられる作品。
※この作品は障害者アートのレンタルサービス”あんじゅあーと“採用作品。
"あんじゅあーと”の詳細は以下より。